小柄の小松です。今回は1枚・重ね着・タックインなど幅広く使えるロングシャツについて。
2020年11月13日(金)に発売された、ジルサンダーとのコラボ企画「ユニクロ+J」。シンプルな服もありましたが、少しクセが強かったのがシャツ類。
メリットとデメリットどちらもありますが、その特徴を紹介したいと思います。
ユニクロ+Jのスーピマコットンオーバーサイズシャツ(ストライプ)をレビュー

こちらが今回紹介するユニクロ+Jのスーピマコットンオーバーサイズシャツ(ストライプ)
身長162cmの小松はブルーのXSサイズを購入しました。
✴︎画像が滲んでるのはシャツのツヤの影響です。
着こなしの幅が広い切替スタンドカラー

このシャツの1番の特徴はなんといっても切替デザインになってること。
ライトブルーやストライプ柄などユニクロのビジネスシャツで馴染み深いものをつなぎ合わせて、全く新しいシャツとして構築されたデザインになっています。

襟付きのタイプもありましたが、僕が今回選んだのはスタンドカラー型。
ここでいう”カラー”とは襟のことですが、スタンドカラーはビジネスシャツにある襟を取り除いたもの。
ビジネス要素を削ることで、通常のシャツよりラフな街着として使いやすいバランスに調整されています。

そしてこのシャツ、基本的にはボタンが見えない「比翼仕立て」という仕様です。
ボタン自体は普通のシャツと同じように等間隔で付いてますが、裏に隠れるようになっている。
切替デザインで華やかさが増した一方で、比翼仕立てにすることで部分的にスッキリした印象を持たせているわけです。

ただし普通の比翼仕立てと違って1番上のボタンは見えるようになっています。
ボタンがすべて隠れると、ジャケット・コートのインナーとして使ったときに地味に見えてしまいがち。
そこで目立つ首まわりだけボタンを見せて、ほどよいアクセントになるよう調整しているんですね。

さらにおもしろいのは1番下のボタン。ここだけ他のボタンと違い、フックのような構造になってます。
この仕様にすると、裾だけが少しサイドに広がってくれる。
つまり裾だけがフワッと広がるつくりにして、シャツの形が立体的に見えるよう工夫してあるということです。


この”立体的”に見せる工夫は他の部分からも感じられます。
デザインの切替部分をよく見てほしいんですが、縫い合わせの位置を数センチずらして生地に”ゆとり”ができるようになっています。

腰と胸ポケットどちらも同じ仕様です。
デザインを切り替えつつ、立体的に見せるために縫製位置も手を抜かない。
ジルサンダー氏はあくまで”ディレクション”というポジションだと思いますが、この徹底した作り込みを見るとかなり念入りにチェックしてるはず。


ちなみに裾脇にも小さな切替デザインがあります。
左は白、右はライトブルーですが、まるでTシャツを重ね着したような形。
この部分だけ別の素材が使われており、さらにこの小さな空間に左だけ「+J」のロゴを入れる徹底ぶり。
いわゆる”フェイクレイヤード”ですが、安っぽい服のそれとは違う左右非対称なオシャレな仕様。
ユニクロU・JWアンダーソンコラボも名作揃いでしたが、この切り替えシャツはデザイナーのこだわりが色濃く出てるアイテムだといえるでしょう。
オーバーサイズなのにジャストフィットする着心地

名前の通りオーバーサイズなロングシャツですが、不思議と大きく見えすぎないのも魅力の1つ。
これは切替が腰位置になってるのが大きなポイントです。
腰位置にデザインがある服は体型がバレやすいですが、ロングシャツにすることでそれをカバー。そしてロングシャツの長さも同時に誤魔化す。
お互いのメリット・デメリットを上手く打ち消しているので、オーバーサイズなのにコンパクトに見せることができます。


肩幅は少し落としてありますが、袖は比較的細身に作られています。僕は腕が短いのでわかりにくいですが、袖丈も平均的な長さより短めです。
袖の細いシャツはボタンを留めると手首まわりで突っかかり、余計なシワが寄ってしまうこともありますが、XSサイズでも袖まわりはゆったりしてます。
歴代のユニクロUのシャツは袖先が詰まる仕様で、腕が短いと不格好に見えやすかったんですが、+Jのシャツはその問題が起きないのでストレスフリーで着ることができます。

数字で見ると身幅は通常ラインのシャツより広いですが、不思議とダボついて見えない。
ライトブルーは黒と比べて膨張しやすい色ですが、それで細く見えるということは”パターンに工夫が詰まってる”ともいえます。
切替が腰位置にくるようになってるので、パンツの裾にタックインしたら別の見え方に変わる。この発想もおもしろい。

ちなみに首まわりは通常ラインのシャツより広めです。首元が太い僕でもボタンを閉じる余裕がありました。
これはユニクロに限らず”シャツあるある”ですが、小さいサイズのシャツは首までキツくなり、顔が大きく見えやすい。
そういったシャツはボタンを開けて着ても首詰まりの影響があるので僕はシャツ自体をあまり買わないんですが、このシャツは数字よりもゆとりがあるので比較的ラクに着れます。

もともと比翼仕立てで目立ちにくいこともあり、第2ボタンまで開けてもダラシなさが出にくい。
僕はもともとシャツボタンを開けてきるほうが好きなので留めないですが、普段ユニクロでXSシャツの首元が詰まる人は、このシャツならボタンを留めて着る余裕があると思います。
スーピマコットンが活きる高級感

最後に素材についてですが、これはメリット・デメリットどちらもあり。
けれどデメリットなんて目をつぶれるほど、シャツの完成度は高いです。

使われてるのは”スーピマコットン”という綿素材。
ユニクロのTシャツ・肌着類でお馴染みですが、これは繊維の細長い糸が使われた立派な高級素材。
ユニクロのシャツだと「エクストラファインコットン」というのが一般的ですが、スーピマにしてるのはおそらくこちらのほうか素材に自然な風合いがあるからでしょう。
写真や文章で伝えるのが難しいですが、滑らかで光の反射からもツヤが感じられる。直感的にいうと「着ていて安心できる素材」です。

ちなみに洗濯前後の伸び縮みを比較しました。
着丈・身幅・袖丈など全体的に少しずつ縮みました。
もともとオーバーサイズな作りなので、洗濯での変化は気にしなくていいかと思います。

ただし洗濯するとシワができます。少しつまんでもシワになるくらいなのでアイロン掛けは必須。このシャツ唯一のデメリットといっていい部分です。
僕自身、シャツはアイロン不要のイージーケアなものばかり買ってきましたが、デザイン・シルエット・素材の完成度が高すぎて、その面倒くささを受け入れてしまうほど。
シャツのアイロン掛けってかなり面倒じゃないですか?でもこのシャツに関してはその作業をしてでも着たくなる。そんなシャツには久しぶりに出会えました。
たぶんイージーケアな素材じゃこの風合いは出せないし、感動もできない。デメリットを受け入れられる服好きな人は是非手にとってほしいと思います。
・着こなしの幅が広い切替スタンドカラー
・ジャストフィットするオーバーサイズ
・スーピマコットンが活きる高級感
ジルサンダー氏の洋服は「時代を超えている」と言われるらしいですが、その言葉に嘘偽りはないと感じるクオリティの高さです。ユニクロ+J スーピマコットンオーバーサイズシャツ
