小柄の小松です。今回は真冬の寒さを凌げるレザージャケットについて。
最近はレザーを使ったトップス・アウターが増えていますが、ダウンやウールコートと比べるとどうしても防寒性が足りなかったりするもの。
しかも全面レザーのアウターは主張が強すぎて着こなしのハードルが高め。逆にダウンや中綿入りアウターは着膨れしやすい。
そんな悩みをすべて解決できる1着を紹介します。
soeのレザーフライトジャケットは真冬の寒さを凌げる名作アウター
こちらが今回紹介するsoeのレザーフライトジャケット(スウィッチングファブリック)
身長162cmの小松はサイズ1を購入しました。
ハードな印象を消す素材の切り替え
まず特徴的なのは各パーツの素材が切替式になってること。
オールブラックですが、レザー・コットンからウール・中綿まで、ところどころにいろんな素材が散りばめられているのです。
まず前面はレザー。こちらは牛革ではなく馬革(ホースレザー)が使われています。
馬の革といってもいろんな種類があり、具体的にどの革なのかは書かれてないんですが、ホースレザーは牛革より脂肪が少なく、薄い・軽い・柔らかいなどの特徴があるようです。
実際に触ってみると、しなやかで柔軟性があります。
レザーアウターはどうしてもバキバキな印象が強いことが多い。街中を見ていると、男らしい人or中性的な人でないと似合わないという印象もあります。
そこで柔らかい印象のあるホースレザーを使うことで、レザージャケットのハードな印象を減らしてくれているんですね。
ハードな印象を減らす工夫は”袖”にもアリ。
肩まではレザーですが、袖部分はコットンが大半を占めてます。
たとえばレザーライダースは基本的に全面がレザーで覆われてますが、このジャケットは左右の袖をコットンに切り替えることで、柔らかい印象をプラスしている。
ただし肘にはレザーが貼り付けてありエルボーパッチ仕様になってます。
かなり大きめのパッチで、やや低い位置に大胆に貼り付けてある。
しかもフチは白い糸で縫われていて、大胆だけど少し可愛らしい印象も出ています。
ところでこの袖部分ですが、実は中綿が入っています。
ダウンやフェザーではなくポリエステルが使われてるようですが、ほどよい厚みがあるので冬に着ていても暖かい。
いくつかロングコートを持ってますが、それらを着るよりこのショート丈アウターを着たほうが暖かいくらい。
ダウン・フェザーを使っていないのは、袖まわりのボリュームを適度に抑えるためだと思います。
前面の切替が目立ちますが、逆に裏側はウールと少量のナイロンが使われています。
オモテの特徴的なデザインに対して裏は比較的シンプル。
そして面白いのは、前からも少しだけウール部分が見えること。
レザーの位置を少し下にズラすことで、肩まわりの3つの素材がわかるようになってるんですね。
目立つレザー部分を下げることで、ジャケットに少しリラックスした雰囲気が出てるのも特徴的。
ちなみに裏地ですが、レザーの裏はキルティング仕様でポリエステル。
革一枚ではないので、冬に着て暖かくなるよう工夫されてます。
袖裏はキュプラという素材。
高級スーツなどでも袖裏がキュプラになってることが多いようですが、実際袖を通してみると肌触りはとても滑らかです。
レザージャケットのハードな印象を減らし、おもしろいデザインにしながら防寒性もキープ。
遊び心と実用性を兼ねた素材使いといえるでしょう。
使いやすくアレンジしたフライトジャケット
ところでこのジャケットは名前の通りフライトジャケットを基盤にしたデザイン。
アメリカ軍用として開発された「A-2フライトジャケット」を参考にしていると思われます。
A2ジャケットを調べてわかったのは、まず腰まわりのポケットについて。
ボディの上から叩きつけたパッチポケットで、ボタンで留められるフタも付いてます。
A2の特徴の1つらしいですが、「ポケットに手を突っ込むのは軍人としてカッコ悪い」という美学から、あえて手を入れにくい仕様になってるんだとか。
けれどsoeのジャケット、実は脇にサイドポケットが付いています。
防寒性を高めるためのハンドウォームポケットですが、これがあることで中央のボタン・ジップを閉じたときに手が入れやすい。
A2は基本的にハンドウォームポケットが付いてないらしいので、soeは現代に合わせて使いやすくアレンジしてるわけですね。
裏にもポケットが左右1つずつ付いてます。
スマートフォンは問題なく入るサイズで、本来縫い付ける端からポケットがはじまってるので野暮ったさが出ない。
こういった見えない部分へのこだわりも凄いところ。
ジップは馴染みのあるYKK。
マニアの中にはジップにこだわりがある人もいるようですが、こちらも使いやすさを優先してYKKを選んでるのだと思います。
で、ジッパー部分には数本のヒモが結んであります。
素材が何なのかまではわからないですが、細いヒモが複数見えることでデザイン性が強く、同時にハードな印象を和らげる効果も感じられる。
襟は通常より低い位置に付いていて、これもリラックスした雰囲気が出る工夫の1つ。
レザーアウターはタイトなほど顔が負けてしまったりするので、これは結構ありがたい仕様。
チンウォーマーというパーツが付いてるので、襟を立ててスタンドカラーシャツのように使うことも可能です。
それと袖先には”べっ甲ボタン”が付いてます。
A2ジャケットの原型は袖先がリブになってるようですが、これもボタン式にすることで軍物の印象を弱めているのでしょう。
男性的なフライトジャケットをモチーフにしつつ、現代に合わせて使いやすくアレンジしたデザイン。
特にハンドウォームポケットがあるのはかなりありがたい仕様です。
低身長でも着れるほどよいオーバーサイズ
このジャケットのサイズ展開は2種類のみで、僕は小さいほうを選びました。
身長が低いのでサイズが合うか不安でしたが、このジャケットは身長をあまり気にせず着れるシルエットになっているのです。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62142/1076430
まず単純にショート丈だということ。
モデルさんが着用してるのはサイズ2だと思いますが、かなり短い丈になるよう作られてます。
身長162cmの小松がサイズ1を着るとこんな感じ。
身幅は少し広めですが、着丈が短いのでダボダボした印象はそこまで出ません。
着丈だけみると、ユニクロのMA-1ブルゾンのLサイズくらいかと思います。
それよりおもしろいのは袖丈について。
腕の短い小松がそのまま羽織ると”萌え袖丈”になるんですが、袖先がキュッと絞られてるので手首で固定することができます。
つまり腕の長さによって膨らみは変わりますが、これのおかげで袖丈を気にせず着用できる。
寒いときは逆に袖を垂らして着れば暖かい。2パターンの使い方ができるわけです。
最近の洋服はオーバーサイズを”袖”で表現してるものが増えています。
着丈を短くしつつ、袖先にボリュームが出して部分的にオーバーサイズを表現する服が多い。
このジャケットは中綿を入れて防寒性を高めてるわけですが、おそらくトレンドのシルエットをつくるという目的も兼ねてるのだと思います。
そう考えると、かなり理にかなったデザインといえるでしょう。
・ハードな印象を消す素材の切り替え
・使いやすくアレンジしたフライトジャケット
・低身長でも着れるほどよいオーバーサイズ
今後のトレンドを踏まえつつ、防寒性や使いやすさも考えたジャケット。
控えめにいっても”名作”と呼べるアウターではないかと思います。