小柄の小松です。今回はユニクロUのテーラードジャケットについて。
ユニクロUは元エルメスのデザイナーであるクリストフルメールらとのコラボ企画。
海外デザイナーのテイストをユニクロ価格で楽しめるので、洋服好きの間で毎年注目されています。
今回紹介するのはユニクロUのなかでも定番の1つとなったテーラードジャケットですが、以前のモデルとは違う細かいアップデートがされていることがわかりました。
2020年春夏ユニクロUのテーラードジャケットレビュー【ブレザー・感動・コンフォートとの違い】

こちらが今回紹介するユニクロUのテーラードジャケット
身長162cmの小松はネイビーのXSサイズを購入しました。
緩めのジャケットは低身長男子にとってハードルの高いアイテムの1つ。しかし工夫次第では身長か低くても着こなすことは可能です。
休日用を象徴するラフなデザイン

まずはデザインから見ていきます。このジャケットを一言でいうなら「スーツに限りなく近い休日用ジャケット」です。
一見どこでも売ってそうなシンプルなジャケットに見えますが、実はとても計算されたデザインになっていることがわかりました。

まずわかりやすいのは腰に付いた2つのポケット。
こちらはボディの上からペタッと縫い付けた”パッチポケット”という形です。

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/426858?utm_medium=mobile_app&utm_source=PDP
こちらユニクロの感動ジャケット。素材はウールではないですが、形はビジネススーツに沿ったデザインです。
ビジネス・冠婚葬祭用のジャケットだとポケットは内側に付いており、上部にフタのようなものがあります。これは”フラップポケット”と言われるタイプです。
スーツウェアは基本的に装飾を削ぎ落としたデザインになっています。ビジネス用のコートもポケットはサイドに付いた目立たない仕様になっていることが多いです。

それに対してパッチポケットは明らかに目立つデザイン。
カーゴパンツなどの作業着をイメージするとわかりやすいですが、機能的なポケットは目立つ装飾。削ぎ落とすスーツとは真逆ともいえます。
つまり仕事用のスーツとは違うパッチポケットを付けることで、休日用の簡易ジャケットであることを象徴していることになります。

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/425035?utm_medium=mobile_app&utm_source=PDP&color=05
さて、これだけならユニクロのコンフォートジャケットも似たような形をしています。
こちらもパッチポケット式なので、厳密なスーツとは違う簡易ジャケット。ITや出版業界など”ほどよくカッチリ見えればいい職場”で活躍する上着です。
しかし今回のテーラードジャケット、上記のコンフォートジャケットと違う点がいくつかあります。

まず1つが襟(ラペル)の形です。通常のジャケットよりも1回り大きめの襟。ユニクロUの去年のモデルよりも大きめです。
顔まわりに大きなものがあると、対比効果で小顔に見える傾向があります。つまりこのジャケットは通常より小顔効果の高いアイテムなのです。

そして襟のデザインそのものにも違いがあります。
ジャケットの襟は中央に切れ込み(ゴージ)がありますが、この襟のラインは”ゴージライン”というもの。
ユニクロUのジャケットは通常よりゴージラインが低い位置に付いています。

ゴージラインの高さが変わるとスーツの印象は変わってきます。
高ければ一般的なスーツのような大人びた印象。低いとゆったりしたラフな雰囲気が出てきます。

ちなみに袖にはボタンが付いていません。
通常スーツの袖にはボタンや切り込みが付いているので、これもラフな雰囲気を出す要素になっています。
パッチポケット、ゴージライン、袖のないボタン。スーツとは違うデザインにすることで、休日用ジャケットであることを強調していることになります。
スーツ要素を散りばめたデザイン

その一方でこのジャケット、ところどころにスーツ要素を散りばめる仕掛けもされています。
まずは胸ポケット。一般的なスーツと同じように胸ポケットを付いています。

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/416628?color=08&utm_medium=mobile_app&utm_source=PDP
こちらは2019年春夏ユニクロUのモデルですが、このときは胸ポケットがありませんでした(襟も小さめ)。
つまりポケットをビジネススーツと同じ仕様にすることで、去年よりも大人びた雰囲気をプラスしたデザインにしているんですね。

そしてボディをよく見ると、ポケットの上に縫い込んだラインが入っています。これは”ダーツ”と呼ばれるデザインです。
ダーツはビジネススーツに入っているデザイン。これがあることによってジャケットがより立体的に見えます。つまり”地味にならない”ということです。

また、肩にはパッドが入っています。
少し厚めのパッドを入れることで通常より肩のラインが強調されます。
生地自体は薄めなのでそこまでハッキリとわからないですが、これはイギリスのスーツでよくみられる特徴のようです。
胸ポケット、ボディのダーツ、厚みのある肩パッド。
ラフな要素だけでなく、部分的にフォーマルスーツのデザインも取り入れている。デザインの足し算・引き算か詰まったジャケットといえるのです。
パーカーの重ね着もできる緩さ・細さのあるサイズ

続いてシルエットを見ていきます。
全体的に緩いサイズになっていますが、それが特に感じられるのがウエストの絞りがないこと。
ビジネススーツはウエストにくびれができるつくりか一般的ですが、このジャケットはガッシリ体型の男性でも着やすく、体型を選ばないサイズといえます。

裾は裏・サイドどちらにもスリットがありません。
こうすることでより直線的でゆったりした形になるように調整されてることになります。
ちなみに肩と袖の繋ぎめである”アームホール”もゆったりサイズです。
厚めの肩パッドでビシッとしめつつ、繋ぎめはゆとりを持たせるという絶妙なバランス。パーカーなどの厚手アウターを重ね着しやすい仕様です。

その一方で、袖の長さは比較的短め。画像では長袖スウェットを着てますが、半袖Tシャツから羽織った際は親指の付け根くらいまで。
僕は腕が短いのですが、その僕でこの袖丈になることを考えると、意識的に短く設計してると思います。実際ユニクロの簡易ジャケットも袖の短いものが多いです。
袖先に向かって細くなるのでダボつきはありません。
洋服は袖先・足元・首まわりなどの”先端”が目立つ傾向があります。
このジャケットは着丈は少し長めですが、目立つ袖先を細くすることでオーバーサイズ感を少し減らしてくれているんです。
汚れにくく、スーツライクに見せる素材

最後に素材について。使われているのはポリエステルのみとなっています。
ポリエステルのジャケットと聞くと化学繊維で安っぽいという印象がある方もいると思います。しかし個人的にはそこまで安っぽい印象は感じません。

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/428392?rrec=true
同じく100%ポリエステルのコンフォートブレザーと比べると、ネイビーの色味は明るめ。
ブレザーのほうが生地は厚めですが、こちらはホコリが付きやすく、ユニクロUはホコリが付きにくい仕様になってます。
僕はネイビーを買いましたが、どうしても化学繊維感が気になる方は黒やダークグレーを選ぶのがいいでしょう。洋服の色が暗いほうが素材は目立ちにくくなります。

ところでこのジャケット、簡易ジャケットでありながらスーツのように裏地が付いています。
しかも部分的に付いてるわけではなく、背中から袖の内側まで全面に裏地アリ。
同じ簡易ジャケットであるコンフォートジャケットには裏地が付いていませんが、着心地はユニクロUのほうが断然いいです。

細かいですが、襟の裏は厚みがあり、ウールのような質感を再現しています。
このジャケットは襟が大きめですが、厚みを持たせることで重厚な印象をプラスして、ペラペラな安っぽさが出ないように工夫しているのだと思います。

近くで見るとウールじゃないことは素人目でもわかりますし、そもそも裏地なので他人からは見えない部分です。
けれど襟の厚みをプラスする実用性もありますし、ジャケットのデザインを忠実に再現してくれています。見えない部分へのこだわりはユニクロの真骨頂ともいえますね。
ここ数年のユニクロU商品のなかで定番といえる数少ないアイテムですが、デザインの1つひとつにトレンドの要素を感じさせる工夫が見えます。
すでにユニクロのブレザーや感動・コンフォートジャケットを持っているという方も、ぜひ一度店頭で試着してみてください。
見れば見るほどユニクロの服作りへのこだわりを実感できると思います。ユニクロU テーラードジャケット
