小柄の小松です。今回は2021年の洋服のトレンド(色・柄・素材)について。
洋服は”ナマモノ”と言われることがありますが、これは日々刻々とトレンドの”色・柄・素材”が変化しているのも大きな理由の1つ。
特に季節の変わり目は毎回何かしらの変化があり転換期になりますが、2021年春夏も新しい流れがきてるように感じます。
今回の考え方を知っていると、今後どんな服を買い、手持ちのどの服を残せばいいかのヒントが見えてくると思います。
2021年春夏の洋服トレンドが「明るい色・花柄・シースルー素材」な理由
ということで2021年春夏のトレンドについてですが、色や柄などは世の中の暗いムードと関連しているように思います。
他の方も話してることですが、2020年に起こった新型コロナウィルスの影響も後押しして「明るく前向きになれる洋服」が多くなっているのです。
トレンドカラーが明るい色になった理由
まず色に関してですが、ここでのキーポイントは”自然な色”と”明るい色”の2つ。
ご時世的にどうしても暗いムードが漂っていますが、その不安を和らげるための色使いが提案されています。
https://www.wwdjapan.com/articles/1158313
そもそも色のトレンド予測というのが毎年海外で発表されています。
これは”パントン”という海外企業が主体で行なっているもの。
その年を象徴するカラーは毎年1色だけ選ばれるのが基本らしいんですが、2021年はイエローとグレーの2色が選ばれています。
正確にいうと”イルミネーション”と”アルティメットグレー”です。そしてこれについてパントン社のディレクターは次のようにコメントしています。
希望を込めてこの選択をした。私たちはまだ団結や安定からほど遠いが、そこを目指している。灰色の雲の裏には明るい太陽の光がある。
“希望”や”明るい光”という言葉のとおり、コロナ禍の不安を和らげるための予測といっていいでしょう。
すべてのブランドがこの2色を採用してるとは限りませんが、発表してる洋服には似たようなアプローチが多く見られます。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62344/1079954
たとえば落ち着いた色の中にパキッとした派手なインナーを合わせ、明るい未来を湧き立てるような着こなしなど。
派手なカラーを全身にまとってるブランドもありますが、街着だとなかなか難しい。いくら海外のトレンドとはいえ「ただ派手な服を着てる人」と思われてしまう可能性が高い。
なのでインナーは明るくしつつ、他の服は控えめなカラーを使うというのが安定かと思います。
イエローだけでなく、オレンジやライトブルーなどもOKです。
もともと春夏は秋冬より明るいカラーを使ったほうが季節らしさが出せますが、いままでよりも意識的に明るいカラーを使ったほうが”今年らしい雰囲気”がつくれる。
ただし素材選びを間違えると子どもっぽくなりやすいので、レーヨンや光沢のあるコットンなど大人びた素材でそれを表現したほうがいいでしょう。
フラワー柄は選び方に注意
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/65601/1139043
色と合わせてチェックしてほしいのは”花柄”です。
これまではストライプやチェックなど直線的な柄が多かった印象がありますが、フラワーだとそれらとは違った立体的な模様になる。
花といってもいろんな種類がありますが、偶然なのかこれらがコロナ禍で”希望”や”明るい未来”を連想させるキーワードにもなってくれます。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62142/1076416
なので今後は日本のブランドでも花柄を取りいれるところが増えてくるでしょう。
早いところはそれらを見越して2020年秋冬から取り入れていたりします。
ちなみに上の写真はsoeという日本のブランドですが、さかのぼると2019年秋冬からすでに花柄を意識した服を扱ってました。
https://www.fashion-press.net/news/67458
とはいえ花柄の服は選び方を間違えると「年齢層の高い人の服装」を連想させる可能性もあります。
いくらトレンドの柄といっても古臭さを感じさせたら逆効果になってしまう。特に花柄が全面にプリントされてる服は着こなしに気をつけたほうがいいでしょう。
なんでも似合う人や着こなしのテクニックが高い人なら気にしなくていいと思いますが、花柄の面積が少ないorワンポイントになってる服ならハードルは低いと思います。
シースルー・シアー素材の本質を捉える
https://www.lettuce.co.jp/products/detail/14229
そして最後に”素材”ですが、サラッとしていて薄い素材がトレンドにあがってきています。
たとえばシースルー・シアー素材と呼ばれるもの。もともと女性の服で多く見かける素材です。
洋服界隈の言葉でいうと”透け感のある服”という表現にもなりますね。
そもそも最近はコートやジャケットなどで薄くて軽いものが増えています。
分厚いコートだと秋から着るのは難しいですが、生地が薄くて軽ければ秋から着れる。そして冬にはユニクロのウルトラライトダウンなどを使った重ね着で凌ぐことができる。
重ね着する服によっては春コートを真冬に使うこともできるので、持ち物を最小限に抑えるミニマリスト的な発想にも繋がる。
そういった生地が薄くなってきた傾向もあって、シースルー・シアー素材が台頭してきている。春夏の涼しげな印象にも合うので、とても理にかなった発想です。
https://www.lettuce.co.jp/products/detail/14229
とはいえ透け感のある洋服は女性的な印象が強いので、男性によっては顔の雰囲気とマッチしないこともあるでしょう。
中性的な男性はすんなり着れたとしても、そうでない男性だと違和感が生まれる可能性は高い。
これも着こなしのテクニックで埋められるとは思いますが、あまりにも透け感の強い服だとハードルが高いのは間違いありません。
けれど重要なのは”透ける素材”ではなく、あくまで”透け感”です。
つまりシースルー・シアー素材に近い印象が出せれば、トレンドを踏まえた着こなしをつくることができるんですね。
具体例をいくつかあげますが、まずナイロン素材の服です。
ナイロンを使った秋冬のMA-1ブルゾンは厚手ですが、サラッとしたナイロンの服なら春夏らしさが出せます。
実際に透けてなくてもそれに近い風合いがあるので、より幅広い男性が取り入れやすいでしょう。
ちなみにバッグで透け感を出すというのもアリです。
このウエストポーチはナイロン素材ですが、こういったバッグを斜め掛けすれば、トップスが普通の服でも透け感は十分表現できる。
他にもリネン・紙製のバッグなど、サラッとした風合いのバッグを展開するブランドは増えています。
あとはレーヨンなどもそうですね。
レーヨンは絹に近い光沢と風合いがある化学繊維ですが、こちらもサラッとしてるので透け感を表現しやすい。
オレンジなど明るい色はもちろん、ネイビーのような落ち着いた色でもOKです。
あげだすと結構たくさん出てきますが、メッシュ素材もその1つ。
メッシュって内側が透けて見えますよね?なので透け感を表現するにはピッタリな素材です。
全身メッシュだとラフな印象が強く、スポーツ用品のようにも見えやすいですが、このスウェットのように部分的にメッシュが使われていれば、ほどよくトレンドを再現できるでしょう。
ところで最近はレザーを使った洋服も増えていますが、今回の話を聞くとこのことに違和感を覚える方も多いはず。
透け感のある素材がトレンドなのに、バキバキな印象があるレザーも流行りはじめている。これじゃ真逆じゃないのか、と。
しかし実はこれらも透け感の要素を取り入れた素材使いがされているのです。
まずは本革よりもフェイクレザーを使ったものが多いこと。要は”合皮”です。
合皮は化学繊維でレザーに近い風合いを出してるわけですが、本革と比べると薄くて柔らかい雰囲気を出しやすい。
つまりレザーの大人っぽさを出しつつ、シースルー・シアー素材の透け感も取り入れることができるんですね。
「合皮は安っぽいからイヤ」という人もいるようですが、合皮には合皮のメリットがちゃんとあるということになります。
じゃあ本革はダメなのかというとそうとも限りません。
たとえばレザーといっても牛革・馬革などさまざまですが、この2つを比べると馬革のほうが薄い・軽い・柔らかいという特徴があります。
つまり本革でなるべく透け感を出したいときは、馬革(ホースレザー)を使えばいい。
実際に透けるわけではないし、フェイクレザーより厚みは出やすいですが、バキバキの牛革よりは近い風合いを表現できるということです。
細かい話でしたが、素材のトレンドというのは深掘りすると辻褄が合うようになっています。
だからといって牛革を使うなということじゃないですが、こういったことが分かると、どのブランドがトレンドを的確におさえているかも見えてくるでしょう。
・明るい色を1点プラスする
・フラワー柄は選び方に注意
・サラッとした”透け感”を取り入れる
ぜひこの考え方を頭の片隅に入れてみてください。