小柄の小松です。今回は2021年春夏の洋服のトレンドデザインについて。
洋服は”ナマモノ”と言われることがありますが、これは日々刻々とトレンドの”デザイン”が変化しているのも大きな理由の1つ。
特に季節の変わり目は毎回何かしらの変化があり転換期になりますが、2021年春夏も新しい流れがきてるように感じます。
今回の考え方を知っていると、今後どんな服を買い、手持ちのどの服を残せばいいかのヒントが見えてくると思います。
2021年春夏の洋服トレンドデザインを予想【Vネック×セットアップ】
ということで2021年のトレンドについてですが、結論からいうと「Vネック×セットアップ」が大きなキーワードとなってます。
これは2020年から徐々に浸透してきてる流れですが、2021年になるとこの傾向がより強くなってくるはずです。
“Vネック型”の服が流行る理由とは?
まずVネックについてですが、これはクルーネックが浸透した”反動”といえます。
そもそも洋服のトレンドは「いまみんなが着てる服」ではなく「少数のオシャレな人達が取り入れ始めてる服の特徴」のことを指します。
つまり首元が詰まってるクルーネックをみんなが着ていたら、その反動で首元が開いたVネックを着る人達がいる。
いってしまえば良い意味での「ひねくれ者」がオシャレだと見られやすいのです。
https://www.t-fashion.jp/shop/greenlabelrelaxing/goods/2191000
たとえば2020年現在、若い人から上の世代の方までダッドスニーカーを履いてる人が多いはず。
2017年当初はそこに新鮮な印象があったので差別化できましたが、いまは多くの人が使うようになったので真新しさはなくなってしまった。
もちろん着こなしで差別化することはある程度可能だと思いますが、モノ単体で見たときにダッドスニーカーはトレンドアイテムとは言えなくなってきているんですね。
こういったことがクルーネックでも起きるので、真逆ともいえるVネックが台頭してきてるということになります。
ところでVネックというとセーター・Tシャツなどが浮かぶと思いますが、実はもっと広い意味で解釈できる。
そもそもVネックについて掘り下げると、次の2つの特徴があることが分かります。
・胸元が開いている
・襟がV字になっている
これがVネックの本質です。
つまりただ単にVネックを選ぶだけじゃなく、この2つのどちらかを意識すればトレンドを取り入れたことになるのです。
春夏ではもはや定番化してますが、オープンカラーシャツもこれに当てはまります。
Vネックセーターと違ってボタンがありますが、胸元が開いてV字になってるのは同じですよね?
数年前から街中で見かける機会が増えたので差別化は難しいですが、本質的にはトレンドにあったデザインの服といえるでしょう。
たとえば同じトップスだと”スキッパーシャツ”もその1つ。
襟元がスッキリしてる点はスタンドカラーシャツと似てますが、スキッパーシャツは首元が最初からV字に開いてるという違いがあります。
胸元が開いていてV字になっている。つまりVネックの流れにマッチする洋服の1つといえるんですね。
ところでトップスだけでなく、羽織りやアウターに関してもVネックの流れが影響しています。
たとえばカーディガンですが、ボタンを閉じると首まわりにV字ができるので、これもVネックの1つと捉えることができます。
しかも最近売られてるカーディガンは、ボタンを閉じたときに首まわりが詰まった形になる傾向があります。
もともとクルーネックやタートルネックで”高さのある服”が多かったなか、いきなり深いVラインにすると真逆な印象が出てしまう。
トレンドはガラッと180度変わるのではなく、曲線のように徐々に”流れ”が変わっていくものです。
そこでなるべく詰まったVラインにすることで、クルーネックからの自然な流れを意識した服が多いのです。
これはジャケットに関しても同じこと。
ジャケットのボタンを閉じると襟まわりがV字になりますよね?
だから最近のコレクション画像ではジャケットのボタンを閉じた着こなしが圧倒的に増えています。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62653/1085694
で、普通のジャケットのボタンを閉じると腰まわりが窮屈になったりしますが、それを解消するために最近のジャケットは身幅を広くしたものが多い。
もし家にスーツ用ジャケットがあったら試しに着てみてください。上のモデルさんの写真よりも腰回りがパツパツになる方が多いと思います。
それは体型の問題というより、そもそものデザインの違いが大きい。
よりトレンドを意識したジャケットは、ボタンを閉じて綺麗なVラインができるよう、身幅が調整されているわけです。
そしてコートもジャケットと同じことを意識したデザインが増えています。
コートのボタンを閉じると襟元がV字になります。なのでそのときキレイなV字を描けるよう、身幅が広くなったコートが多いのです。
まずはトレンチコートですね。
トレンチはもともと襟が大きいですが、襟が寝たデザインのものだと首元に大きなVラインができる。
チェスターコートはトレンチより襟が小さいですが、ボタンを閉じればそれに近いVラインをつくれます。
2020年の時点でもそうですが、最近のチェスターコートは襟が大きいものが増えています。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62544/1084455
Vネックの本質は「襟が低くなってること」と書きましたが、実際に襟が低いアウターも見かけるようになりました。
たとえば上のようなアウターですね。シャツの襟まわりが通常より露出してますが、これはアウターの襟が通常より低くなってるから。
チェスターコートやトレンチと違って首元にVラインはできませんが、襟の位置を低くすることでVネックの本質を捉えているわけです。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62653/1085724
上げだすとキリがないですが、目線を下に誘導できることを考えるとハーフジップも当てはまりますね。
そのままでも近い印象は出せますし、ジップを開けたら襟が斜めに広がってよりVネックっぽく見せることができます。
いろいろ具体例を並べましたが、Vネックがトレンドといってもその捉え方はさまざま。
なのでVネックセーターをたくさん買えばいいということではなく、モノ選びも着こなしもいろんな角度からアプローチできる。なかなか面白い話ではないかと思います。
モックネックはVネック型と相性がいい
ところでVネックと合わせて春夏にモックネックを展開するブランドも増えています。
実はこれもVネックのトレンドと深く関係してる話。
モノ単体ではなく、着こなしのバランスを考えてモックネックが提案されているのです。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62710/1086907
たとえばこの着こなしが分かりやすいかと思います。
コートはVネックの流れを意識した大きめの襟で、襟自体も低くなってますよね?
しかし襟が低すぎると首まわりが寂しく物足りない印象が出やすいのも事実。
なのでその物足りなさを埋めるため、逆に襟元が高いトップスを合わせているんですね。
襟元が高い服というとタートルネックも同じですが、モックネックよりタートルネックのほうが襟は高め。
そもそも襟に高さがあると秋冬らしさが強まって季節感がなくなりやすい。単純に着ていて暑いというのもあります。
上の着こなしはかなり首元が高いですが、現実的なことを考えると、タートルネックよりモックネックを使ったほうが自然な印象は出しやすいでしょう。
https://zozo.jp/sp/shop/mrolive/goods/53827660/?did=89315595
その流れから日本でもモックネックを使うブランドをチラホラ見かけます。
上のTシャツも春夏のアイテム。実物を見せてもらいましたが、生地自体は薄手でサラッとした素材。色展開も春らしい色が揃ってました。
デザインが秋冬寄りだったとしても、色や素材の選び方次第でさらに違和感を減らすことができるはず。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62653/1085724
2020年から傾向はありましたが、ネクタイを使った”タイドアップコーデ”もその1つです。
上のコートの例と似てますが、襟が低いジャケット・アウターに高さのあるインナーを合わせれば、首まわりの物足りなさを解消できる。
ただしビジネス用のシャツ・ネクタイだと街着として違和感が出やすいので、シャツの色・素材をカジュアルにするなどしてビジネスの印象を消す必要があるでしょう。
Vネック・襟が低い服がメインになりますが、着こなしのバランスを考えると「首元が高い洋服」は持っていたほうがいい。
なのでまずは手持ちの服を活かせないか試してみるのがベターです。
広い意味での”セットアップ”が増えている
最近はジャケット・スラックスを使った着こなしが多いですが、これはストリートスタイルの反動から来てるといわれています。
ストリート好きの方々に怒られそうなので分かったようなことは書けませんが、数年前はバレンシアガをはじめとした多くの海外ブランドがラフなスタイルを提案していました。
Vネック・クルーネックと同じ理屈ですが、最近はその反動で大人びた”セットアップ”の着こなしが増えてきているのです。
セットアップとは同じシリーズの服を上下セットで着る組合せのこと。同じブランドのジャケット・スラックスなどがその代表格ですが、他のいろんな組合せでも使われる言葉です。
そんなセットアップですが「上下の服が揃っていると大人っぽく見える」というのが本質。
そしてジャケット・スラックスだけで街中が溢れかえると差別化が難しい。
そこでセットアップを幅広く解釈して、新しい大人びた服装を提案するブランドが増えているのです。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62653/1085709
たとえば本来ラフな服である”スウェット”も、上下で色を統一すればスーツ要素を出せます。
スーツの着こなしは白黒モノトーンで細身なスタイルが基本ですが、普段着であってもセットアップを意識すれば大人びた服装に見せることができる。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62653/1085743
ちょっと極端ですが、たとえばユニフォームなどをセットアップとして捉えてるブランドもあります。
実際に普段着で着れるかどうかは別ですが、発想を広げるという意味では海外コレクションの画像は参考になることが多い。
ちなみにブランドが違っても色さえ近ければ統一感は出せます。
上下の色を近づける必要があるので難しいところですが、同じブランドにこだわらなくても”セットアップ風”に見せることは可能。
なので複数のブランドで買い物をするときは、色の統一感を意識して選ぶのもアリだと思います。
https://www.fashion-press.net/collections/gallery/62710/1086900
あとは服のデザインそのものですが、ジャケットだとボタンが3つ4つあるものを見かけます。
ジャケットで一般的なのは2つボタンだと思いますが、それと差別化するために装飾を増やしている。
逆にボタンやポケットを削った極めてシンプルなジャケットを作るブランドもあります。あとはビジネスっぽく見えないカラフルな色・素材にするとか。
“セットアップがトレンド”となると、普通の発想じゃブランド同士で服がかぶりやすい。
だからこそ各々のブランドが既存のイメージをひねった洋服を出しているんですね。
ということで今回のポイントは…
・クルーネックの反動で”Vネック型”が広がる
・モックネックはVネック型と相性がいい
・広い意味での”セットアップ”が増える
ぜひこの考え方を頭の片隅に入れてみてください。