小柄の小松です。今回はユニクロから見た海外トレンドについて。
ユニクロは2017年頃からオープンカラーシャツを毎シーズン展開しています。しかもデザインや素材、シルエットを変えてかなりのバリエーション。
さすがにもう売らなくてもいいのではと少し前まで疑問に感じていましたが、そこには海外トレンドがかなり深く関わっていることがわかってきました。
オープンカラーシャツから見たユニクロとルメールの関係性
繰り返しになりますが、ユニクロはここ数年、これでもかと思うほどオープンカラーシャツを展開しています。
チェック柄やキューバシャツ、さらに素材がリネンのものまで。さらに2020年春夏はこれまでで一番シンプルなモデルも売っています。
ポケットもないだけでなく、オープンカラーシャツに付いてることの多い襟横のボタンループすらない。
シンプルな着こなしから”着飾るファッション”に変わってきた最近のトレンドとは真逆ともいえる形です。
しかしそうしたデザインにはきちんと理由がある。海外コレクションを眺めているとそのように感じます。
ユニクロの通常ラインはルメールを意識している?
ユニクロは海外デザイナーとのコラボ企画”ユニクロU”を展開していますが、そのデザイナーはクリストフルメール氏。
ユニクロUの洋服にルメール氏のデザイン性があるのはもちろんですが、通常ラインの商品にも影響が出ているように感じられます。
https://www.fashion-press.net/collections/11954
これはクリストフルメール氏がデザイナーとして関わる”ルメール”のコレクション画像の1つ。
ザックリいうとユニクロUの本家なわけですが、2020年のルメールには上記のような着こなしパターンが目立ちます。
https://www.fashion-press.net/collections/11954
シャツの上からジャケットやブルゾンを羽織り、シャツ襟を外に出すという着こなし。
シャツの襟は少し低い形のものが多く、襟そのものもやや大きいものが大半。
そのアプローチと比較的近いのがオープンカラーシャツです。
普通のシャツと違って襟は最初から低くなっており、襟そのものにもある程度のボリュームがある。
ルメールの洋服はポケットや襟の位置を低くしてラフな印象に崩すアプローチが多いです。それと同じ匂いを感じさせるのがオープンカラーシャツなんですね。
そして実際ユニクロUのテーラードジャケットと重ねてみると、最初から狙っていたかのように形がピタリと合います。
同じブランドなんだから別に普通じゃないかと思うところですが、このオープンカラーシャツはユニクロの通常ラインのものです。
ユニクロUと通常ラインのユニクロの相性がいいということは、通常ラインもルメール氏の影響が強く出ている可能性がある。
https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/414582?color=27&utm_medium=mobile_app&utm_source=PDP
ちょっと見えにくいですが、去年のオープンカラーシャツは左襟のところにボタンループが付いていました。
アロハシャツはものによっては襟裏にボタンが仕込まれていて、それをループで閉じられるタイプもあります。
今年のシャツにはボタンループが付いていないのですが、そうすると襟まわりの装飾が必要最低限になる。
デザインをすっきりさせることで、上記のような”襟出し”が綺麗に見えやすくなっています。おそらくこういった着こなしにも対応できるよう、デザインを削ぎ落としたのだと思います。
胸ポケットがないのは使い方のバリエーションを増やすためでしょう。
Tシャツの上から羽織りとして着たり、画像のように裾をタックインしたりと、ポケットがないほうが組合せの選択肢は広がるので。
ユニクロが2017年頃からずっと売り続けているオープンカラーシャツですが、ルメールのデザイン・コレクションの影響を強く受けているのはほぼ間違いないでしょう。
海外コレクションを見ると服選びがラク
ユニクロの通常ラインが海外コレクションの影響を受けているということは、それを見ることで服選びの基準をクリアにすることができます。
海外のトレンドは日本にすぐ定着するわけではなく、時間をかけてゆっくりと浸透していくことが多い。
早い段階でトレンドのキーワードになる服を見極めて、手持ちの洋服と合わせて再現できそうなコーディネートを見つける。
それが長く使える洋服選びに繋がるといえるでしょう。
https://www.fashion-press.net/collections/11954
海外コレクションと聞くと奇抜でハードルの高い洋服ばかりじゃないかと考えやすいですが、蓋を開けてみると着こなし自体がシンプルというものも結構あります。
もちろん細かいデザインや素材の違いはありますが、上の着こなしならユニクロやセレクトショップの服でも再現できそうな気がしませんか?
https://www.uniqlo.com/jp/store/feature_mb/uq/fe_list/UniqloU/men?quickviewproduct=426190&color=22
特にルメールの春夏・秋冬コレクションを事前に見ておくと、ユニクロUの服を着こなすヒントが見えてきます。
このカーディガンは、2020年春夏ユニクロUで人気だったモデルですが…
https://www.fashion-press.net/collections/12472
ルメールの秋冬コレクションでも似たような形のものが載っています。
コレクションを事前に見ておけば、どんなコーディネートを組めばいいかイメージしやすい。
ユニクロの店頭で似たような着こなしを試してみて、それが自分にハマれば安心して買うことができます。
話が脱線してしまいましたが、一見普通のオープンカラーシャツを見るだけでも、ユニクロがトレンドを意識したアップデートを繰り返していることが読み取れます。
ファッション界隈では「今年は〇〇な気分」など曖昧な表現が多いですが、ルメールと比較しながらユニクロの服選びをしていけば、ボヤっとした情報に惑わされずにすみます。
どうせなら長く使える洋服を買いたいという人は、ユニクロと海外コレクションを比較しつつ、再現できそうなものを選んでいくのが賢いといえるでしょう。