小柄の小松です。今回は黒いチェスターコートの違いついて。
男性が着るコートの中でも特にメジャーなのがチェスターコート。ユニクロでも通常ライン・海外デザイナーとのコラボなど、頻繁に取り扱われてる洋服の1つです。
ただチェスターコートといっても、デザインや他の洋服との相性はそれぞれ微妙に違ったりします。
今回はユニクロUと+Jのコートを使って具体例を書いていきます。
ユニクロU、+Jのチェスターコートの違いを比較【コーデも変わる】
繰り返しになりますが、同じチェスターコートでも実際に着てみるといろんな違いがあります。
左がユニクロU、右がユニクロ+Jのコート。
今回無地のコートを比較しますが、柄や金属など目立つデザインがなくてもバランスの取り方は変わってしまうのです。
似ているようでコンセプトは真逆
パッと見はほぼ同じような雰囲気がありますが、この2つは元々のコンセプトが真逆といってもいいコート。
具体的にいうとユニクロUがアウトドア要素の強い普段着向けコートで、+Jは冠婚葬祭のようなフォーマルな印象のあるコートなのです。
まずユニクロUから見ていきますが、1番わかりやすいのは腰ポケット。
かなり大きいポケットですが、これはボディの上から叩きつけた”パッチポケット”と呼ばれる仕様。
これはアウトドア系の洋服でよく見かけるデザインです。
ポケットの形が目立つので主張が強くなる。
つまりよりラフな雰囲気がデザインです。
逆に一般的なテーラードジャケットだと、ポケットのフチの縫い目がなく、スッキリした印象があります。
スーツで使われる洋服は無駄なデザインが付いていないもの。コートに関してもビジネスや冠婚葬祭用のものだとほとんどデザインが入っていません。
洋服は装飾が多いほどラフな印象が強くなる傾向があります。つまりコートは装飾が少ないほど大人っぽく見える傾向があるんですね。
けれどユニクロUのコートは大きいパッチポケットを付けてラフな要素を足している。
普通のコートより襟の位置を低くしてるのも同じ理屈です。
一見シンプルだけど、アウトドア要素を加えて普段着として使える雰囲気を出している。これがユニクロUの特徴といえるんですね。
それに対して+Jのコートは真逆。
ビジネスや冠婚葬祭で使うコートのようなフォーマルな要素を全面に打ち出しているアイテムです、
わかりやすいのが腰と胸のポケット。
この形と組合せに見覚えがある方も多いと思いますが、実はこのコートは一般的なスーツジャケットと同じつくりになっています。
「洋服は目立つ装飾が多いほどラフに見えやすい」と書きましたが、こんな風にスーツの印象に近づけた場合は逆に大人っぽさが増します。
襟はユニクロUと比べると高い位置に付いています。
スーツの着こなしはジャケットやシャツ・ネクタイなど首元に”高さ”のある組合せ。つまり高さがあるほどスーツの大人びた印象が強くなる。
このコートは2020年秋冬のもので、もう1つ別のコートもありましたが、そちらも基本的にはスーツスタイルをベースにしたデザインでした。
袖にボタンを付けてないなど普段着の要素もプラスされてますが、基本的に+Jは大人びたスーツ要素の強いコートといえる。
だからユニクロUと+Jはコンセプトが真逆なのです。
「黒いコートは1着持ってるからもういらない」
「何でもいいから黒いコートが1着欲しい」
僕はこう考えていた時期がありますが、同じ無地の黒コートでもコンセプトが全く違うことがある。
そしてこのあと書きますが、これを知らないと手持ちの服と噛み合わないことがあるのです。
合わせやすいトップスが変わる
「襟の高さが違う」と書きましたが、特にこれの影響で合わせやすいトップスの選び方も変わってくるように思います。
シンプルな黒コートであっても「適当に合わせてもサマになる」というわけじゃないのです。
まずユニクロUですが、襟が低くなってるのでパーカーを合わせてみました。
大きくて下がった襟と、大きくて立ち上がるフード。この2つを組合せることで綺麗なバランスを取ることができる。
実際ユニクロUではパーカーも展開していました。そのことから見ても、コートとパーカーの相性が良いことが見えてきます。
それに対して+Jはタートルネックを合わせました。
+Jはスーツスタイルをベースに作られたコート。スーツではシャツにネクタイを付けて首元に高さを出しますが、それに近い印象をつくれるのがタートルネックやモックネックなど。
実際+JではモックネックTシャツも展開していました。そのことを考えても、こういった組合せがバランスを取りやすいというのが見えてきます。
パーカーでも高さは出せますが、+Jはコートの襟が高いのでパーカーを合わせると首まわりに窮屈な印象が出てしまう。
言葉だけで説明するのはなかなか難しいですが、どちらかのコートを持ってる方は試してみてほしいです。
「チェスターコートは襟まわりが寂しいから高さのある服を合わせよう」という考え方がありますが、同じ高さのある服でもコートの形によっては相性が変わってしまう。
身幅とか着丈の長さなども関係してますが、特に襟まわりの違いが分かれ目になってるように感じます。
帽子やメガネの相性も違う
そしてトップスだけじゃなく、帽子やメガネの相性も違いがあることが見えてきました。
黒コートを地味に見せないためには小物使いが便利ですが、コートの形によって合うもの・合わないものがあるという話です。
まずユニクロUですが、基本的にラフな小物を合わせると馴染みやすい傾向があります。
ここではコートの襟が低くなったぶん、ニット帽を使って高さを出しています。
ユニクロUはアウトドア要素を散りばめたラフな印象のあるコート。そしてニット帽は作業用(ワーク)として使われたことから始まったとされる帽子です。
これも説明が難しいんですが、アウトドアやワークなどのラフな要素があるモノ同士だからこそ、お互いが浮かない組合せにできるのだと考えられます。
それに対して+Jのコートはかなりフォーマルなデザイン。
画像がなくて申し訳ないですが、このコートにニット帽をかぶるとかなり違和感が出ました。
帽子は顔まわりの小物なので目立つアイテム。しかもそれ単体に”特定の印象”が出やすいので、こういった相性の問題が出てくるのだと思います。
それとメガネ類に関してですが、ユニクロUは普通のメガネ・サングラスどちらでも特に違和感は出ませんでした。
アウトドア要素のあるデザインだと書きましたが、言い換えるとアクティブな印象のあるコート。
だから普通のメガネを使っても、スポーツやアウトドア系に合うサングラスを使っても問題ないのだと思います。
それに対して+Jは右のようにサングラスを使うとどこか違和感が出ました。
繰り返しになりますが、+Jコートは冠婚葬祭向けのフォーマルな形。ユニクロUのようなアウトドア要素がほとんどありません。
なので普通のメガネは合うけれど、サングラスだとイメージがかけ離れてどこかチグハグな雰囲気が出てしまう。
はじめは気にならなかったですが、メガネに変えてみたことでその違いが浮き彫りになってきました。
細かい話が多かったですが、とにかく知ってほしいのは2つのコートが似て非なるモノだということ。
ユニクロUや+Jに限らずですが「とりあえず黒コートが欲しいから値下げしてるコレでいいか」という考えて買わないほうがいい。
「黒のチェスターコートは何にでも合う」と表現する人もいますが、決して「何にでも合う」わけじゃない。これは実際に買って着てみれば分かることです。
手持ちにどんな服があって、どんな着こなしをしたいのか。細かい話ですがそれをある程度考えてからコートを選んだほうがベターだといえるんですね。
ということで今回のポイントは…
・似ているようでコンセプトは真逆
・合わせやすいトップスが変わる
・帽子やメガネの相性も違う
ぜひこの考え方を頭の片隅に入れてみてください。